Zait et al. Nature Plants, in press (2025) (佐藤班・木下)
【注目の論文3】
アポプラストのメタボローム解析による赤色光による気孔開口における葉肉メッセンジャーの解明
植物の表皮に存在する気孔は、光、特に青色光や赤色光により開口し、光合成に必要な二酸化炭素を取り込みや蒸散を介した根からの養分吸収を促進するなど、植物の生育に必須の働きを担っています。青色光による気孔開口では、青色光受容体フォトトピンが細胞膜プロトンポンプをリン酸化により活性化し、気孔開口を誘導することが明らかとなっていますが、赤色光による気孔開口については、葉肉細胞における光合成が重要であることはわかっていましたが、その分子機構は不明でした。今回私たちは、葉肉細胞において光合成によって合成された糖(ショ糖)がシンプラストを介して気孔腔に輸送され、葉肉メッセンジャーとして気孔を構成する孔辺細胞の細胞膜プロトンポンプのリン酸化による活性化と気孔閉鎖を誘導する陰イオンチャネルの不活性化を引き起こし、気孔開口を誘導することを明らかにしました。今後、本研究で明らかとなった気孔開口の分子機構を基盤として、気孔開度を制御した植物の作出などが期待されます。
Zait, Y., Zhu, M., Ando, E., Zhou, Y., Yaaran, A., Yon, S., Okamoto, M., Hayashi, Y., Hirai, M.Y., Jegla, T., *Kinoshita, T., *Chen, S., *Assmann, S.M.
*: Co-corresponding author
Apoplastic metabolomics reveals sugars as mesophyll messengers regulating guard cell ion transport under red light. Nature Plants (2025) in press Link プレスリリース