注目の論文
Xiang et al. Science, 309, 405-410(2025)(吉田班)
【注目の論文4】
寄生植物が自身や近縁種に寄生しない仕組みを解明
寄生植物は吸器と呼ばれる寄生器官を形成して宿主植物に寄生します。吸器形成は、宿主のリグニン代謝経路に由来する吸器誘導物質と呼ばれるシグナルによって誘導されることが知られていますが、リグニンは維管束植物全般に広く保存された物質です。維管束植物である寄生植物も当然リグニンを作ることができますが、寄生植物は自分自身や近縁寄生植物に対して吸器を形成しないことが知られていました。本研究では、自分自身に応答して吸器を形成するspontaneous prehaustorium formation 1 (spoh1)を単離し、その原因遺伝子UGT72B1を同定しました。UGT72B1は吸器誘導物質にグルコースを付加することで、自身のもつ吸器誘導物質を無効化していることが明らかになりました。さらに、寄生植物のUGT72B1は宿主植物の同じ酵素に比べて広い基質特異性を持っており、自身のシグナルを常に無効化することで、近縁種から認識されないようにしていることが分かりました。この仕組みを応用することで、寄生植物から認識されない作物の育種につながることが期待できます。
Xiang, L., Cui, S., Saucet, S.B., Takahashi, M., Inaba, S., Xie, B., Schilder, M., Shimada, S., Cui, M., Watabnabe, M., Tobimatsu, Y., Bouwmeester, H.J., Tohge, T., Shirasu, K., *Yoshida, S.
