注目の論文

Jie et al. PNAS, 122, e2527765122(2025)(佐藤班)

【注目の論文5

糖の不足が植物の病害抵抗性を弱める原因を解明

世界中で生産される農作物は病害による大きな損失を受けており、人口増加に対応した食糧の確保・増産を目指す上で大きな課題になっています。また、近年の研究から、高温や高湿度といった環境ストレス下では、植物の免疫活性が低下し、病原体感染に弱くなるということが分かってきており、大きな注目を集めていますが、その原因となるメカニズムは未解明な点が多い状況です。

本研究では、モデル植物シロイヌナズナを材料に、細胞活動に欠かせない栄養である糖の不足により植物免疫活性が低下することを見出しました。さらに、真核生物に保存された細胞内エネルギーセンサーであるSnRK1(ヒトAMPK/酵母SNF1)が、糖やエネルギー不足環境下での植物免疫ブレーキ役となっており、病害抵抗性遺伝子の発現を抑制することを発見しました。加えて、SnRK1機能を人工的に低下させた植物では、高湿度下でも高い免疫活性を示し、病害細菌への抵抗性が強化されることが示されました。

本研究で得られた知見は、近年多発する異常気象下において植物の病害抵抗性が低下することを防ぎ、安定した収量を得られる作物品種や農業資材の開発に役立つことが期待されます。

 

Jie, L.,# Sanagi, M.,# Yasuda, S.,#, Yamada, K., Ejima, S., Sugisaki, A., Takagi, J., Nomoto, M., Xin, X.F., Tada, Y., Saijo, Y., *Sato, T. (#Equally contributed authors)

Cellular energy sensor SnRK1 suppresses salicylic acid-dependent and -independent defenses and bacterial resistance in Arabidopsis. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. (2025) 122, e2527765122 Link プレスリリース