注目の論文

Nosaki et al. Science Adv, 12, eaeb8825(2026)(壽崎班)

【注目の論文6】

根粒共生のマスター転写因子の分子進化の仕組みを解明
 
マメ科植物などが窒素固定細菌と共生して窒素を獲得する根粒共生の成立には、転写因子NODULE INCEPTIONNIN)が不可欠であり、NINは根粒の発生、微生物感染、共生窒素固定に至る一連の過程を統括しています。植物の進化の過程で、NINは近縁の転写因子NIN-LIKE PROTEINNLP)から派生し、NLPとは異なる共生特異的な機能を獲得しましたが、その分子進化の仕組みは不明でした。本研究ではミヤコグサを用いて、NINDNA結合ドメイン直後に存在する15アミノ酸からなる新規配列FRFollowing RWP-RK)を同定しました。FRNINの二量体形成を安定化し、DNA結合の柔軟性を高めることで根粒共生の制御に必要な遺伝子を含む広範な遺伝子の発現の制御を可能にしていました。FRを欠失した変異体では、根粒内部での微生物定着や窒素固定が正常に進行せず、FRNINの機能に必須であることが示されました。本研究は、転写因子のわずかな構造変化によって新たな機能が生み出される仕組みを明らかにしました。この知見は微生物を活用した持続可能な農業技術の開発への応用が期待されます。

 

*Nosaki, S.#, Noda, M. #, Onoda, H., Ito, M., *Suzaki, T. (#Equally contributed authors)
The root nodule symbiosis regulator NIN exhibits broad DNA-binding specificity conferred by an NLP-inherited motif. Science Adv. (2026) 12, eaeb8825 Link プレスリリース